不用品回収ここだけの話

「2050年までに瀬戸内海の海洋プラごみをゼロに」広島県知事が宣言

Posted by 2022.03.07 Business vector designed by Freepik
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瀬戸内海の海洋プラスチック問題の解決に向け、同県が舵取り役としての役目を果たし、「2050年までに瀬戸内海の新たな海洋プラスチックごみをゼロにする」と宣言した。瀬戸内海では、プラスチックを含めた海洋ごみが推計で年間約4500トン流れ込み、そこから約2400トンが外海へと流出し、また700トンが海底へと沈殿し、堆積しているという。会見では、宣言の実効性を高めるため、関係する企業や団体ら20社が参画する官民連携のプラットフォームを新たに設立し、環境と地域経済の好循環を図りながら活動を展開することも発表された。

年間4500トンが流入、2400トンが外海へ 700トンは海底に沈積

世界的に海洋プラスチックごみの及ぼす海の生態系や漁業などへの影響が問題となるなか、瀬戸内海でも漂着したごみで景観が悪化した海岸や、魚が成育し、産卵する場所として最適な海藻類が群生する「アマモ場」である海中にビニールごみが漂うなど、その影響は歴然としてある。2011年の鹿児島大教授らによる調査結果によると、瀬戸内海に流入する海洋ごみの年間の総量は4500トンで、このうち3000トンが陸からの流入とされ、つまり、陸で生活する人間の出したごみが川などを通じて瀬戸内海へとたどり着いたと考えられるという。一方、年間の回収量は1400トンにとどまり、2400トンがさらに外海へと流出していること、また700トンが海底へと沈積していることが分かっている。

広島県内の調査では、2020年度、県内の135海岸に漂着したごみの総量は44トンで、うち61.9%の27.1トンがカキ養殖パイプなど「漁業活動に関連するごみ」だった。これについて、同県ではすでに県内の全カキ養殖業者が、養殖資材の適正処理計画を策定するなど、流出防止対策の徹底を図っており、残りの「生活由来のプラスチックごみ」(27.6%、12.2トン)と「金属類、木、ガラス、陶磁器類など、その他のゴミ」(10.9%、4.8トン)について今後の削減目標のなかに組み入れ、対策を講じるという。

「主要3品目」は2030年までに削減の仕組み構築、2040年までにゼロへ

会見では湯﨑知事が上記の状況を踏まえ、生活由来のプラスチックごみの流出防止について、海岸漂着量の多い、ペットボトルとプラスチックボトル、食品包装・レジ袋の「主要3品目」の削減に重点的に取り組む方針を示した上で、「瀬戸内海に新たに流出する海洋プラスチックごみの量を2050年までに“ゼロ”にすることを目指す」とする文言をキーメッセージとする「〜みんなで守ろう、ミライへ。美しく恵み豊かな瀬戸内海を〜2050 輝くGREEN SEA 瀬戸内ひろしま宣言」を発表。さらに2050年までのロードマップとしては、先月成立した「プラスチック資源循環促進法」やSDGsの14番目の目標である「海の豊かさを守ろう」の達成に向けた世界の動きとも連動し、2030年までに主要3品目の使用量削減対策などの仕組みを構築し、それを実行する。そして2040年までに主要3品目の新たな流出をゼロにするとともにそれ以外のプラごみ対策を強化し、2050年に「海洋プラごみの新たな流出ゼロ」を実現させる計画を明らかにした。

その上で目指す姿の実現に向け、必要な取り組みを検討・実施していく上では事業者や関係団体、行政などの「幅広い関係主体が連携・協働していくことが必要不可欠である」として、宣言名と同じGREEN SEAを名称に取り入れた官民連携のプラットフォームである「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」=略称「GSHIP(ジーシップ)」の立ち上げを表明。今後、このプラットフォームのなかで「プラスチックの使用量削減」と「プラスチックごみの流出防止」「プラスチックごみの清掃・回収」「情報の収集、発信、共有」の4側面からワーキンググループを設け、具体策を検討、実施していく方針を説明した。GREEN SEAのGREENは、瀬戸内海の翡翠(ひすい)のように明るく青みのかかった緑、そして環境保全の緑にちなんだものという。

知事からのお願い、みんなに届け!

さらに知事はプラットフォームにおける相互連携のイメージとして、「オープンイノベーションを促進する役割を担い、環境と地域経済の好循環を図りながら、目指す姿である海洋プラスチックごみゼロの実現に向けて取り組む」と話した。ペットボトルなどの素材を回収し、再生する再生事業者と、素材の開発や加工を行う事業者、そして販売業者と消費者との間で行政がポイ捨て防止や分別廃棄・回収に向けた啓発を行う循環図を提示。また岡山県と香川県、愛媛県とも連携し、瀬戸内エリア全体での広域展開を図っていく考えを示し、「趣旨に賛同し、一緒に連携協働していただける輪をさらに広げていきたい」としてプラットフォームへの参画を呼び掛けた。

同プラットフォームには現時点で、アサヒ飲料、イオンモール、イオンリテール中四国カンパニー、イズミ、伊藤園、エフピコ、大塚製薬、カゴメ、キリンビバレッジ、コカ・コーラシステム、サントリー食品インターナショナル、セブン-イレブン・ジャパン、ダイセル、宝積飲料、ファミリーマート、フレスタ、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、ポプラ、ローソンなど素材メーカーと食品・飲料メーカー、小売・流通で構成する19の企業と一般社団法人全国清涼飲料連合会が参画している。

会見にはこれらの企業と団体からも代表者が出席し、全国清涼飲料連合会とエフピコ、セブン-イレブン・ジャパン、ダイセルがそれぞれの取り組みを発表。このうち製造拠点の工場が広島県大竹市にある素材メーカーのダイセルは、さまざまな素材を開発するなかで1930年から製造し続けているという「再生可能な非可食素材」を主原料とする天然由来の酢酸セルロースの新製品として、従来のものよりも飛躍的に海洋生分解性に優れた素材の開発に成功し、業界全体で約80〜90万トンの供給能力を有していることなどを報告。「長年の実績と技術に基づく素材の力で多様なソリューションを提供し、海洋プラスチック問題を巡る世界的な課題と、このきれいな瀬戸内の海の問題に対して真正面から取り組んでいきたいと考えている」などと抱負を述べた。

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